投資信託

不動産投資信託(REIT)とは

 不動産投資信託は投資家から集めた資金をオフィスビルなどの不動産で運用し、賃貸収益や売却益などを配当金として投資家に分配するものです。株式投信や公社債投信の運用対象が不動産になったものと考えてもらえればわかりやすいと思います。米国では1960年に誕生し、Real Estate Investment Trust、略してREIT(リート)と呼ばれます。
 REITには会社型と契約型の2種類があり、投資信託の仕組みとして何を使うかの違いで分類されています。会社型は投資法人(株式会社のようなもの)を使ったREITの仕組みです。投資法人は投資口(株式会社でいえば株式に相当)を発行して投資家から資金を調達し、一定の要件(配当可能利益の90%以上を投資家に配当する等)を満たすことで法人税が実質非課税扱いとなっています。一方の契約型は信託銀行の信託勘定を利用したREITです。
 基本的にREITの投資口は公募され証券取引所に上場されることになり、実物不動産取引はもちろんのこと、これまでの不動産証券化商品ではかなえることのできなかった高い流動性を備えることが特徴と言えます。

不動産投資信託(REIT)の特徴

 REITの魅力として挙げられるのは、第一に「配当利回りの魅力」です。配当の源泉はオフィスビルなどの不動産から生まれる賃料収入です。仕組み上、利益の90%以上を配当することになりますので、比較的高い配当利回りが実現します。
 第二に「取引所に上場される魅力」です。取引所に上場されることで、流動性や透明性等のメリットが生まれます。
 第三に「小口化の魅力」です。これまでは最低でも数千万円の資金が必要であった不動産投資が、数十万円の単位まで小口化され不動産への投資が容易になります。不動産を証券化したものものとは言え、その収益は不動産から生まれていますので、インフレヘッジ性などの不動産の特徴はしっかり受け継がれています。
 第四に「投資家にとっての分散投資の魅力」です。米国のREITは企業の株式や国債などとは異なったリスク・リターン特性を持っており、また相関も小さくなっています。この性質は日本のREITでも同様と考えられ、投資家がポートフォリオにREITを組み入れることによって分散投資効果が得られることが期待されています。
 以上のような事柄が、不動産投資信託(REIT)の特徴と言えると思います。

不動産投資信託(REIT)の種類

 数十年の歴史を持つ米国REITは、例えばオフィス専門に投資するREITや住宅専門のREIT、小売店舗専門のREITなど、不動産のタイプや、エリアなど投資対象を明確にした専門店型REITが中心です。タイプ別の不動産マーケットの動きを把握しておけば、株価の変動や将来の見通しなどを把握するのも容易になります。例えばこれから西海岸のオフィスはマーケットが悪化しそうだから、東海岸の住宅REITに投資しよう、といった具合に明確なポリシーをもった投資ができます。反面、ある特定のマーケットの状況に左右されやすいと言う特徴があります。
 日本の場合には、各地のオフィスビルを中心に商業施設や住宅などをミックスした百貨店型REITが多くなりそうです。こうすることによって各REITが保有する不動産ポートフォリオの中でリスク分散が図られることになり、専門店型に比べると特定のマーケットに左右されるリスクは少なくなります。
 このように、不動産投資信託(REIT)は、専門店型と百貨店型とに大別することができます。